私の中で戦いのゴングが鳴っているとはつゆ知らず、管理会社の男性は粛々と原状回復箇所の説明を続けています。

次にここの壁なんですけど、黒ずんでいますね。
家具のこすれとかでしょうか?
ここも修繕が必要なんですけど、修繕が必要な個所だけを張り替えますと、
他の壁部分と色が異なってしまいますので、
こちら側の壁は全面張替えになります。
来ました、来ましたよ。お得意の全面張替え。
そしてまたもや、横にいるオーナーも「うん、うん。」と頷いています。

確かにそこは、ベッドを置いてました。
それで汚れたのかもしれません。
そこも私が払いますか?

そうですね。
それとクローゼットの棚の上の壁なんですが、
なんか・・・カビのような黒ずんだ部分がありますね。
ここも張替えになりますので、結局、部屋全体の壁の張替えになります。

え?!
そこは、排水管が通っているみたいです。
前に相談したことがあります。漏れているんですかね?
私のせいではありません。
そんな押し問答がありましたが、管理会社の男性は横にいるオーナーの顔色を伺いながら、相変わらず粛々と部屋の壁一式張替えとその費用負担の全ての義務がEさんにあると主張し続けます。
ずっと大人しく聞いていた私もさすがに呆れてしまいました。
この人、私やEさんが何も知らないと思って、本当に悪質にぼったくろうとしているんだと、この発言を聞いて確信に変わったからです。

ここでチェック!
通称「壁紙6年ルール」というものが存在します。
パートナーのEさんはその賃貸物件に8年居住していました。
「壁紙6年ルール」というのは、前回もお伝えした国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に記載があります。クロス(壁紙)の耐用年数が決められており、残存価値は6年で1円という指針です。つまりこれは、6年経過した壁紙は本来の価値がなく、新しく張り替えて価値を上げるための費用負担を借主にさせてはならず、クロス(壁紙)の張替えにかかる費用負担は貸主側にあるという意味なのです。
しかし賃貸契約書の「特約事項」でクロス(壁紙)の原状回復費用が借主側にあるという記載があれば、話は変わってきます。(特約事項についての説明は前回の①を参照にしてください。)
つまりEさんが居住していたその部屋の壁紙の価値はもう既になく、Eさんには壁紙の原状回復義務はないということなのです。そして居住年数が6年以上で、たとえ故意・過失、善管注意義務違反による破損だったとしても、借主にその費用の全額負担をさせるということはありえません。ちなみに家具を置いていて、その裏側が黒ずんだ程度の壁の汚れは通常摩耗の程度あり、借主負担にはなりません。
①テレビや冷蔵庫の電化製品による壁の黒ずみ
②画鋲、ピンによる壁の穴(釘の穴は不可です)
③エアコンの設置によってあいたビス等の穴
④ポスターのを貼っていたための壁紙の変色
このようなものも通常摩耗の範囲ですので、覚えておいてください。
では、居住年数が6年を経過していて、故意・過失、善管注意義務違反による破損だった場合、原状回復費用負担の範囲と割合はどのようになるのでしょうか?
クロス(壁紙)の材料費を負担する必要はありませんが、修繕にかかる工賃代(人件費を含む)は全額負担する必要はあります。
では、同じく故意・過失、善管注意義務違反による破損で、居住年数が6年を経過していないクロス(壁紙)の張替えの場合はといいますと、
クロス(壁紙)の残存価値分の張替え費用を支払う必要があります。
クロス(壁紙)の耐用年数は6年ですから、3年の居住年数であれば6年の半分ですから、50%の張替え費用を支払うということになります。
ここまで説明してきまして、いかにこの管理会社が悪質かそろそろおわかりでしょうか?
驚いておどおどしているパートナーと大人しく話を聞いている私に、管理会社の男性はさらに畳みかけます。

次に、浴室なんですけどね、ちょっとこちらにきてください。
ここの備え付けの収納棚、
シャンプーなどを置く受け皿(プラスチックのもの)なんですが、
変色しています。交換が必要になりますので、こちらも負担をお願いします。

それ(プラスチックの受け皿のこと)は取り外しができないもので、
掃除が難しかったです。
水が流れる穴もあいてないし、水が溜まって流れないんです。
普通に使って、その色なんです。
「それ、プラスチックですし、通常摩耗&経年劣化でしょう、普通に・・・」と私は思いました。
その後も管理会社の男性の口から、他の個所の修繕のご指摘が色々でてきまして、洗面台の下の収納棚の変色、キッチンから部屋に入る扉のドアノブが緩いためドアノブを交換する、などなど・・・・
一通り、管理会社の男性からの説明を大人しく「ふんふん。」と聞いてから、私は反撃を始めることにしました。

あの・・・
修繕箇所が多すぎて、全然覚えられないんですけどぉ、
動画を撮ってもいいですかぁ?
すみません、バカで。(笑)
お手数をおかけして申し訳ないんですけどぉ、
もう一度最初から全部説明してもえませんかぁ?
ごめんなさ~い。
管理会社、オーナーとの退去立ち合いのやり取りは全て記録しましょう!
できれば、動画で撮影し音声を残しましょう。そして修繕が必要だと言われた箇所については、静止画でも撮影し、その際はメジャーを横において、大きさがわかるように撮影しましょう。
※なぜかは後ほど詳しく説明します。
管理会社の男性は、私がお願いした通り、一から全て修繕箇所を指さしながら、同じ説明をしてくれました。

ありがとうございま~す。ご説明はわかりました。
詳しい修繕費用がまだお分かりではないということでしたので、
なんともお返事ができないんですがぁ、
見積書をメールにてお送りいただけませんか?
それを二人で確認して内容を詰めてから、
お支払いするかどうかを決めて、こちらから連絡しますね~。

え???

修繕費用もわからないということでしたし、
修繕箇所が適切なものかどうかも、今この場所ですぐに判断できかねますし、
一旦持ち帰りますね。
見積書の送付にはどれくらいかかりそうですか?

いや・・・あの。

修理業者さんに依頼をおかけになると思うんですけど、
見積書の送付は1週間から10日程度でしょうか?

見積書の送付は、仰る通り依頼をかけて1週間から10日間ほどでお送りできると思いますけど、
修繕の見込みが立ちませんと次の入居者の募集ができませんので、
その分、オーナーさんに損害がでます。
見積書が出来上がるのが10月の終わり頃として、
そうなりますと10月末の退去希望は難しいですね。
来月11月分の家賃を負担してもらう可能性がでてきますけど。
今日、この退去立ち合い書にサインしていただけますか?
本当に、本当に、この管理会社はクズだと思いました。その理由は後ほど説明します。
退去立ち合い書には、修繕が必要だと言われた箇所が全て記載されていました。
つまりこれをサインすることにより、「退去立ち会いをして、修繕箇所を双方で確認し、修繕費用をお支払いします」と認めたことになります。それが管理会社の狙いなのですが。

費用がわからないのに、怖くてサインなんてできないですぅ~。
すみませーん。
見積書が送付されて確認してから、連絡しますねぇ。
サインはその後にしますぅ。

あ、いや・・・。
そうなると、来月の家賃を払ってもらわなくてはいけなくなりますし、
場合によっては次の入居者募集をかけるまでのオーナーさんへの損害賠償請求をさせてもらう可能性もありますよ。
「言うとけ、このくそボケが!!」と心の中でつぶやきながら、

すみませーん。できないものはできないですぅ。
あ、これが連絡先のメールアドレスです。
電話連絡は、彼が日本語難しいので、私宛にお願いしま~す。
これが私の番号です。なかみちと言います。
今日はありがとうございました~。
びっくりしたオーナーと困り果てた管理会社の男性。何度も何度も書類にサインを求め、脅しをかけてきました。(忘れてません?だってこの内容、録画してるんですよ?笑)

ごめんなさーい。できませ~ん。
を何度も繰り返し、

わかりました。
でも退去に立ち会ったというサインだけはしてもらえませんか?
相変わらず、折れない管理会社。
ということで、日付を記載し、本日立ち合いのみ行ったということと、後日見積書が送付されてから内容と費用を確認し、支払いを行うか検討し連絡する旨を書き、サインしました。

ここでチェック!
ここまで読まれて皆さんお気づきかと思いますが、そもそも退去立ち合いに法的義務はありません。つまり立ち会わなくても賃貸物件の退去はできるんです。とどのつまり、立ち会わなくても良いということは、退去立ち合い書にサインも本来不要ということなんです。法的義務もないのに、脅してサインを強要するなんて、あってはならないことで言語道断であることがおわかりいただけましたでしょうか?
今回、私はサインしましたけれど、完全拒否しても全く問題ないということは覚えておいてください。
無事に(?)退去立ち合いを終了しましたが、帰り道、二人ともどっど疲れが出てしまいました。
こんな不毛のやりとり、精神を消耗します。
たくさんの引っ越しを経験し、数々の管理会社やオーナーとやり取りをしてきた私ですが、さすがにここまで悪質な業者は初めてでした。本音はその名前を公表したいくらいです。
長くなりますので、③へ続く。
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