息子が一人暮らしを始め、ほぼ1か月が経とうとしています。私は自分の引っ越しもあり、その準備に追われていたため、あっという間に感じました。息子が実家であるこの家を出ていくときは、なんとも言えない気持ちになり、見送る時は涙がこぼれました。
23年間、私は息子一筋の人生でした。離婚してシングルマザーになってからは、さらに無我夢中で生きてきました。親も兄弟も親戚もいない土地で、一人で働いて、家事をして育児をしてと、どれだけ時間があっても足りない毎日でした。その人生から今は解放されたわけですから、ほっとしたのもありますが、やはり今までいつもそばにいた人がいなくなるということに寂しさをおぼえます。
妊娠中、お腹にいた息子と一体化していたのに、出産後は別々の個人になって切り離されたときの感覚に少し似ています。体は別の個体にはなったものの、息子を出産してからも、私は息子と一体化していたのだと思います。自立したことは喜ばしいことであり、子育ての最終地点ですが、やはり寂しいという気持ちが先立ちます。
息子は新たな土地で、新たな学校、新たな人間関係を築き、現在は頑張っています。東大の大学院の授業は英語で行われるものが多いそうです。東大の院試ではTOEFLの点数を要求されます。それは専門分野を英語を勉強するからなのですね。今やっと事情がわかりました。日本の大学で勉強をしていても、海外の学校に進学したような状況のようです。息子は英語の勉強ではあまり苦労しませんでした。特に、テストにおいてはリスニングの勉強をしたことがありません。それでもいつも良い点が取れるそうです。そのため専門分野の勉強に重点を置くことができたと今回言っていました。早期英語教育にて英語脳を手に入れたおかげだと感謝されました。
息子のおうち英語はあまり成功したとは言えないと思っていましたが、そうではなかったようです。英語の勉強に苦労しなかったこと、そしてさらに英語を使って専門教育を受けることができているわけですから、目的達成、成功だと思いました。
息子の東大大学院進学については息子の父、つまり私の元夫にも知れることとなりました。私は全く連絡を取っていませんでしたが、息子は互いの誕生日の時、もしくは何かあったときなどには連絡を取っていたようです。そして今回、息子は父に報告したようで、とても驚いた様子だったのこと。それはそうでしょうね。
息子が高校生の時に、大学の進学費用について息子が直接父に相談した際、お金は出せないとはっきり断られ、高卒で働くか、2年間の専門学校に行って手に職をつけ、20歳になったら就職するように言われていたからです。息子は研究職に就きたいため大学院の進学も考えていて、6年間援助してほしいと頼んだにも関わらず、その頼みをことわり、あろうことか話し合いの最中に、元夫は怒り、食事も途中で息子を一人置いてレストランから立ち去った程でした。
泣きながら帰宅した息子をなだめて、「一緒にこれからのことを考えよう。お母さんは応援しているから、お金のことは心配しないで。給付型の奨学金を探して応募して、お金を貯めたりすれば大丈夫だよ。一緒に頑張ろう!」と私は励ましました。そしてその後、見事民間の給付型の奨学生に選ばれたことは周知のことだと思います。
あの時、「お金がないから、援助がないから」と進学を諦めていたなら、今の息子の姿はないわけです。元夫はどんな気持ちで今回の息子の大学院進学を聞いたことでしょう。息子の大学在学中は元夫からの一切の援助はありませんでした。
離婚時の調停書に「大学進学時には費用について負担する」と記載したかったのですが、元夫は拒否し、「相談する」という文言の記載しかできませんでした。相談はあくまでも相談なので、結局は出さないという拒否の姿勢を貫き、今に至るわけですが、思い出すだけでも私は腸が煮えかえります。
日本の男性は、離婚したら自分には義務が無いとでも思っているのでしょうか。平気で子供の事をないがしろにします。別れても自分の子供であることには変わりないし、義務があるのです。そういう意味でも本当に私が一人で頑張って息子を育ててきました。
それでもさすがに今回は、元夫は実の息子が東大の院に進学したということで、お祝いのお金を送ってきました。一人暮らしにお金がかかると息子が言ったからかもしれません。少しは改心し、親心が芽生えたのでしょうか・・・
そのときのことはこちらの記事でも書いています。
息子の大学院進学に際し、このように色んな思いがこみ上げてくる私でした。