民間の給付型奨学生に採用されてシングルマザーが感じたこと

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新年度が始まりました。4月から続々と奨学金制度の募集が始まり、息子は自分が応募できそうな奨学金制度の募集要項を持って帰ってきました。全て給付型の奨学金制度です。JASSO(日本学生支援機構)の給付型奨学金制度は既に利用していますが、JASSOや他の奨学金制度を利用していても併給可となっている民間財団のものが多数あり、この3ヶ月で5つの財団に申し込みを済ませました。

結果は・・・

3財団からの給付が決まりました!
(2財団は大学卒業まで、1財団は1年間のみ)


1財団は学内選考で落ちました。
1財団は学内選考を通過し、財団からの結果待ちです。

3財団からの給付型奨学金をいただけることになって今私が感じていることは、

頑張って子育てをしてきて良かったということでした。

民間財団の給付型奨学金制度に採用される人数には限りがあり、また民間財団の奨学金制度は福祉目的や慈善事業ではありません。奨学金採用者への援助を通して、未来への社会貢献活動の一環として運営されています。選ばれた奨学生は、将来大きく社会に貢献してくれるであろうという期待が財団から込められているのです。財団という社会から、期待を寄せられ、認められたということは大変光栄であり、名誉なことだと感じました。また、そういう息子に育ったことを誇らしくも感じました。

思えば、私が離婚して12年が経とうとしています。親のいない私が、親戚とも兄弟とも離れた遠方で、たった一人で息子を育ててきました。親戚も友達もいない土地で大学から一人で生活を始めたこと、結婚も子供を産んだことも離婚したことも全て私が自分で決めたことです。離婚して子供を抱えて大変だからといって、おめおめと誰かにすがって頼ることは、何か違うと感じていました。自分の人生の選択の責任は自分で取りたいと思ったからです。誰かに命令されてとった行動は何ひとつなく、全て自分が決めたからです。

誰の手も借りずに一人で働きながら育てることは並大抵の努力ではありませんでした。子育ては一人でするものではないということは、本当に本当に実感しています。子育てを一番の優先事項に考えてきたので、自分の時間やキャリアを二の次にしてきたことについてはくやしい時期もありましたが、それでも自分で決めたことでしたので、投げ出すことなく歯を食いしばって頑張ってきました。子育てに合わせた働き方をしてきましたので、今はしがない安時給の派遣社員です。子育ての時間は後悔しても取り戻せないことは心に刻んでいましたので、後悔のないよういつも全力投球でした。子育てにおいては後悔することは一つもありませんので、キャリア形成の犠牲についても今は悔いはありません。

子育てにおいて特に大切にしてきたことは、以下の3つです。


子供と向き合う時間を作り、いつでも見守っているよ・・・という環境を作ること。
仕事などで子供とすれ違う生活にしないことや夕方から絶対に家をあけないようにしていました。ひとり親家庭だと仕事が忙しくて、子供にかまってやれなかったということが多々あると思います。祖父母がやおじおばなどが家にいて、母親の代わりに見守ってくれる人がいる場合はいいのですが、我が家の場合は、私以外に息子を見守れる人がいなかったため、放任にならないよう仕事をセーブし、「どんなときでもあなたを見守っているのよ」というメッセージを送っていました。

いつもあなたを見守っているよ、というメッセージを送る



食事の時間を大切にし、朝晩とも必ず一緒に食べることと、インスタントや総菜をなるべく使わず手料理にすること。
食事の時間に面と向かい合い、何気ない会話をすることってとても大事だと思っています。小さいことですが、食事の時間は毎日の積み重ねでできています。その時の子供の表情や態度でどんな状態なのかを毎日の変化を確実に確認することができます。食事の時間の会話内容も大切ですよね。思春期の頃は少し会話が難しかったのですが、基本的に息子は学校であったことや友達のことをすすんでネタにし、笑いながら話してくれており、今でもそれは変わりません。社会のことに関心をもってもらうために、時事問題やニュースについての話も食事時にするようにしていました。

また人の体は口から入るものでできていますので、栄養のバランスを考慮し心身ともに健康でいれるよう、食事内容にも気を配っていました。そうすると集中力も増し、勉強に専念できるようにもなります。

規則正しい生活と食事から集中力は身につき、コミュニケーションは小さい会話の積み重ね



基礎学力や学習習慣(小学校卒業まで)が身に付くまでは、つきっきりで世話をすること。
学習面においては、思春期になって親を煩わしいと感じはじめ、親が子供の学習を手伝えなくなるまでに基礎学力と学習習慣さえ身についていれば、その後手が離れても自分でどんどん勉強し、伸びていくようになると信じていましたので、小学校卒業まで勉強はつきっきりで面倒をみていました。学習指導要領を確認しながら、重点を置くべき内容、学校学習では足りない内容をチェックして独自にプログラムを組んで勉強を手伝っていました。特に力をいれたことは、”自分で調べてまとめて書く”という作業です。のちに息子は、小学校時代にやってきたことの中でこの指導が学業の面だけではなく生活においても一番役に立っていると言っていました。学業の面においてはレポートを書くということに役に立ち、生活面では問題解決能力が身に付いたとのことです。

小さい頃に身についた基礎学力と学習習慣は一生もの。
疑問に思ったことは何でも自分で調べさせ、まとめさせる。

上記のことを一人でこなそうとすると仕事は二の次になり、どうしても職種や働く場所や労働時間は限られ、責任の少ない給料の安い補助仕事になってしまいます。それでも息子が将来社会に貢献できる立派な人に成長してくれたなら、息子への私の時間の投資は無駄ではないと常々思っていました。

今回息子が3財団の奨学生に選ばれたことは、私のシングルマザーとしての努力が少しでも認められたという感じがして、肩の荷が少し下り涙が出ました。辛かったこと、悔しい思いをしたこともありましたが、本当に頑張ってきて良かったと心から感じました。

ですが、息子はまだ学びの途中にある学生で、何一つ社会に貢献はできていません。これからさらに大学、大学院で学び、専門性を高め、社会に出てはじめて達成できるようになるまで、期待を背負って頑張ってもらわなければなりません。私も親としてそれまで、まだまだ頑張らないといけませんし、襟を正していかなければいけないと思っています。

ひとり親家庭にとって子どもの学費の工面というのは大きな問題です。私が元夫と離婚する時、離婚調停書に息子の大学進学時には費用の工面で相談をするという内容が盛り込まれていました。調停時、大学の費用金額や負担割合などを決めたかったのですが、元夫がそれを頑なに拒み、結局「相談する」という一文しか盛り込むことができませんでした。その時から元夫は、大学の進学費用について逃げるつもりだったのかもしれません。費用を出すことを拒んでいましたから・・・。

息子が高校時代、父親に将来のことを相談しに行きました。息子は「将来は大学に行きたいし、研究者になりたいので大学院にも進みたい」と言って、費用面の援助を父親に申し出た時、頭ごなしに断られ、「俺に甘えるな!そんな金は出せん!」と食事途中に息子一人をレストランに置いてそのまま帰ってしまったそうです。経済的援助は一切しないから、そのつもりで人生設計をするように言われたとのことでした。息子は「僕はお父さんに全然愛されていないんだなあ・・・と思ってすごく悲しくなった」と言っていました。その晩息子は帰ってきてから部屋にこもり、布団をかぶったままずっと泣いていたようです。

食事途中に16歳の未成年の子を怒鳴って一人残して帰ってしまうなんて、どこまでも大人げなくくだらない男だなあと思い、私は沸々と怒りがこみ上げてきました。ですが、あの男はこういう人なのだから別れたのであって、期待するほうが間違っていたし、父親が息子に対して愛情がなく役立たずなら、せめてわたしだけでも母親としてこの子に将来のために何ができるのかを考えて応援しなければと固く心に誓いました。泣いて落ち込んでいる息子に「残念だけど、お父さんはああいう人で援助は一切してくれないらしいから、一緒に経済的な工面方法を検討しよう」と言い聞かせました。

国立大学4年間分の学費は貯めていたので、大学の学費は心配することはないし、自宅から通える大学なら生活費について心配しなくてもよいこと、ただお小遣いについてはアルバイトをしてねという話をししました。大学院への費用は、2年間だけだから奨学金を借りようという話をしました。
(※当時は私がコロナ解雇される前でしたので、「心配はいらない」と言っていましたが、現在は状況が変わり、貯金を切りくずした生活になっていますので、給付型奨学生の応募条件に該当しています。)

大学に入学して実際に蓋を開けてみると、入学金、大学の授業料は免除になり、給付型の奨学金をJASSOと3財団からいただけることになりました。また、大学院の学費については、今の大学の大学院に進学すると収入要件に該当するため、全額免除が受けられそうとのこと。(年収650万円までの家庭は授業料が免除になる大学独自の制度がある)大学院の方が給付型の奨学金制度が充実しているとのことで、その時は応募してみるといいよと教授にアドバイスを受けたとのことでした。(奨学金の学内推薦のときに教授との面談があった)

ありがたいことに、我が家は息子の学費や生活費のことでの心配事はクリアになりました。私自身が苦学生でアルバイト代が全て生活費になり、授業料は奨学金で賄う生活で、学生生活なんてあってないようなものでしたので、息子に同じような思いはできるだけさせたくはありませんでした。今後息子はアルバイトをしなくともよい生活になり、勉学に励みサークル活動などを楽しめる学生らしい生活を送らせてあげられることを大変嬉しく思います。

ひとり親家庭の方は、お子さんが将来大きくなった時の学費の工面で心配になるかもしれませんが、経済的な不安のあるご家庭こそ、進学を望むなら頑張って国立大学にいかせてあげてください。国立大学は、奨学金制度が充実しています。また民間財団からのオファーも多いからです。

この春から民間財団の奨学金制度を利用することになった我が家ですが、書類の作成にはかなりの時間が取られました。次回はその方法をお伝えしていきたいと思います。

****2021/7/24更新***

学内選考を通過し、財団からの結果待ちだった奨学生の採用が決まりました!
これで4財団から給付型の奨学金をいただけることとなりました。
(大学卒業まで、3財団から給付型奨学金をいただけることになり経済的心配が皆無になりました。)

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