私の命の値段は92万円也 パート4

生き方

傷の具合は問題なく、痛みもあまりなく、ようやく術後3日目にして少しずつ食事を再開できるようになりました。お腹は空いているのに、実際に口に入れてみると、お腹が動き出すせいか傷が痛んだり、全く食べられませんでした。ほんの少しの量でしたし、おもゆだったんですけど・・・・。人間の体って不思議ですよね。退院する前日の夜まで点滴は続けられ、食べて、便の排泄がちゃんとできるようになるまで入院をしていました。

術後2日目には救命病棟から一般病棟に移されましたが、一般病棟では息子と同じ年のような研修中の若い看護師などがいて、頑張っている姿に息子の姿を重ね合わせたりしていました。病棟の看護師の仕事は本当に大変そうだなあと思いました。

緊急入院をしてから約1週間で私は退院することができました。腹腔鏡下で手術をしたため体に負担が少なかったこと、腸の壊死がなく病状が軽く済んだこと、食事の摂取や排便もスムーズだったことから回復が早く、退院も早かったのだと思います。日々、トレーニングに励んでいたこともあり、体力や筋力もあったことも幸いしていたかもしれません。思っていた以上に動けました。

普段から体を動かすことというのはこういう時にその効果を発揮できるのだと思います。
(まだ運動をしていない中高年の皆様、どうぞ運動をしてください。おすすめです。)

調べ魔の私は、ドクターから病名やオペのことを聞いたあと、絞扼性(こうやくせい)腸閉塞について調べてみました。

この病気は急性腹症に該当する病気だそうです。急性腹症とは、救急で運ばれる患者に多い病気で、急激な腹痛が突然に襲って発症し、緊急手術を要する可能性のある腹部疾患の総称です。絞扼性腸閉塞は極めて緊急度が高い病気で、処置は緊急手術一択だそうです。発症してから時間が経つにつれ腸が壊死していき(発症から6時間から壊死が始まる)、破裂、敗血症へと進み、致死率が20%ほどになる怖い病気とのこと。

早急に診断され手術が行われれば、命の危険はないそうなのですが、痛みを我慢し受診をしなかったり、診断が遅れたり、手術を受けられなかったりすると非常に危険だそうです。

この絞扼性腸閉塞というのは、消化器外科の専門医が「最も見逃したくない病気の一つ」と言われているらしく、腸閉塞の患者がきたら絞扼しているかどうかを判断して早急に対策を講じなければならず、絞扼性腸閉塞の患者をちゃんと診断して対処できたかどうかで一人前の外科医になったかどうかの試金石になると言われているそうです。
(You Tube パンダ先生の病気の学校「絞扼性腸閉塞 緊急手術が必要です!」より)

私は今回発症してから我慢をしてしまいました。かかりつけ医にかかるまで6時間が経過していました。かかりつけ医のところに行っても更に1時間待たされ、救急搬送の手配をしてもらうまでにも時間がかかり、オペが受けられるようになるまで発症から10時間も経っていました。腸が壊死していなかったのが奇跡でした。幸いにも緊急搬送されたこの病院で迅速な診断と手術によって私は命を救われました。

痛みを我慢せず救急車をさっさと呼んでいればよかった・・・と今思えば後悔しかないのですが、そんな病状だとはわかりませんから、今となっては仕方がなかったとしか言いようがありません。

我慢強い性格だ、と以前うつ病を罹ったときの精神科のドクターに言われていたことを思い出しました。「我慢してはいけない」とその時に何度も言われていたのに、我慢していてもそれに気付かない程、我慢強いと言われていたのに、その性格が災いして今回のことが起こってしまいました。

救命病棟の看護師は、術後の私に何度もこう言っていました。

「痛いのは我慢しないでくださいね。我慢しなくていいんですよ。鎮痛剤で痛みは取れますし、取っていきましょう。」と。

きっと救急搬送されるまで痛みを我慢していたことがカルテに記載されて、我慢強い性格だからそのような声掛けをするよう指示が書かれていたのかな?とも思いました。

改めて、この性格は病気を増悪させるものであることを認識しました。(うつ病の時もストレスを我慢しすぎて悪くなっていました)今後、このようなことがないように気をつけていかなければいけないな・・・と反省しました。

退院したものの、今は自宅で療養中です。普通の食事はまだ取れない為、消化の良い食事を心がけて運動したい気持ちを抑えて大人しくしています。(執刀医には「当分運動は当分駄目ですよ~」と釘をさされました笑)

退院時、入院費の請求書をみました。請求額は約92万円ほどでした。
なるほど・・・これが私の命の値段か・・・と思いました。もちろん医療費は3割負担ですので、実際に払う金額はもっと下回りますし、高額療養費制度もあります。共済の入院保険に入っていますので、保険金の請求をしました。入院費はこの保険金で賄えそうでした。

今回、私は病院の意見箱に投書をしました。自分が受けた医療、サービスはとてもよかったので、どんなところがよかったかということと感謝の気持ちを述べたいと思い、投書をしました。病院で働いていたからわかるのですが、病で病院に来る患者、家族の方というのは助けを求めてきているためか、どこかやってもらって当たり前、良質な医療やサービスを受けられるの当然という方も少なくなく、クレームはたくさん言ってくるくせに、良かったことはあえて言わないという感じでした。つまりやってもらって当たり前と思っているから、良いことはあえて投書しないんですよね。意見箱は、ああして欲しい、こうして欲しいやクレームが多かったです。そのためネット上の病院の口コミも、私は話半分で読んでいます。

日本の良質な医療やサービスは受けられて当たり前ではありません。そこで働く人たちの善意で成り立っていると言っても過言ではありません。もっと謙虚になり、感謝をすることが今の私たちに求められることなのかしれません。

助かったこの命。私にはまだやらなければいけないことがあって、この世に戻されたのかもしれません。私の使命とは何なのでしょうか。療養しながらゆっくり考えたいと思います。

この度は、私の命を助けてくださった搬送先の病院のドクター、医療スタッフ、救命士の方に心から感謝申し上げます。

補足

今回救急搬送され受けた手術ですので、事前に調べることはできなかったのですが、病名が分かれば事前に自分が治療を受ける病院を調べることもしています。

自分が住む地域の疾患別症例数とその症例の手術数の多い病院を選び、受診するようにしています。
例えばこのようなサイトもあります。
全国病院別治療実績検索
ここで病名を入れて検索をかけると自分が住む地域の病院の治療実績一覧を見ることができます。

私は今回、幸いにも腸閉塞の症例数と手術実績が地域で1番目に多い病院に搬送されました。多分、この病院は腸閉塞で救急搬送される患者さんも多かったはずです。(私が以前勤めていた病院のERの患者カルテにはイレウス=腸閉塞の記載が多かったと記憶しています。)ドクター、看護師の手際の良さは非常に手慣れたものでした。おまけに診断やオペに至るまでの流れもスムーズでした。症例数の多い病院を受診するということはやはりこういうところに差が出るのだと思いました。

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