春からの大学入学準備!⑤ファイナンス編

大学情報

入学試験に合格した後は手続きをして、新生活の準備をし、入学式を心待ちにしたいもの。親目線で大学新生活に向けての手続き、必需品や準備について、シリーズで紹介したいと思います!
シリーズ5回目はファイナンス編です。

健康保険

健康保険には大きく分けて二つあり、会社員など勤め人で構成されている「社会保険」と自営業者や75歳までの年金生活者や無職者で構成される「国民健康保険」です。

親である私たちがどういう形態で働いているかによって入る保険が異なりますが、扶養されているお子さんは加入している保険の「被扶養者」(社会保険)、「被保険者」(注:国保では”被扶養者”という概念がなく、家族も「被保険者」と呼ばれます)になっているはずです。お子さんが大学生になると別居をしたり、アルバイトを始めて収入を得るようになりますので、今までとは異なり、注意しなければいけないことや手続きが必要になることもあります。

1.社会保険加入者の方でお子さんが「被扶養者」の場合
●子供が同居:お子さんが同居している場合は、お子さんの年収が130万円を超えると「被扶養者」から外れてしまうため注意しましょう。
●子供が別居:一人暮らしをしているお子さんの場合は、お子さんの年収が130万円かつ仕送りの額より少ない必要がありますので、仕送り額が少なくお子さんのアルバイトでの収入が多い場合は被扶養者とみなされなくなりますので注意が必要です。
(※基本的には預金通帳の写しなど仕送り額の確認ができる書類の提出が必要ですが組合により異なります。組合に確認してください。)

そしてこれは意外と知られていないのですが、税法上の扶養』では、交通費や通勤手当を年収に含める必要はありませんが、『社会保険上の扶養』では、金額に関わらず交通費年収に含まれます。アルバイト先が遠方になり交通費が多く支給されている場合は、それも収入なることを考慮して調整してください。

2.国民健康保険加入者の方の場合
国民健康保険の保険料率の決定主体は各市(区)町村になっているため保険料は市(区)町村によって異なります。お住まいの各市(区)町村で確認してください。
保険料率は世帯ごとに決められ、1年間の保険料は①医療分、②後期高齢者支援分、③介護分を合算した金額を支払うことになり、内訳は下記表のとおりです。(金額は各市(区)町村で異なるため記載していません)

①医療分②後期高齢者支援分③介護分備考
(1)平等割xx円xx円xx円1世帯にかかる額
(2)均等割xx円xx円xx円世帯の加入者数に応じてかかる額
加入者数×左記金額
(3)所得割(%)x%x%x%世帯の所得に応じてかかる額
世帯員各々の「所得割算定基礎所得額」の計×左記料率
※③介護分:介護保険の第二被保険者として納める介護保険分の保険料。40歳から64歳の加入者のみが対象となる。
※所得割算定基礎所得額とは:前年の総所得金額等から基礎控除33万円を差し引いたもの            


所得割算定基礎額とは、保険料の計算のもとになる所得金額のことで、「総所得金額等」から基礎控除33万円を控除した金額です。「総所得金額等」を求めるには「所得金額」を計算する必要があり、給与収入の場合の計算方式は「給与所得金額 = 収入金額 - 給与所得控除額」となりますので、給与収入=「総所得金額等」になりませんので気を付けてください。つまり「給与所得控除額+基礎控除(33万円)以下の年収」であればお子さんの所得割はかかりませんので、お子さんの年収を「給与所得控除額+基礎控除(33万円)以下の年収」の範囲内に収めれば国民健康保険者加入者の場合、保険料が上がることはありません。

一人暮らしをする大学生の場合は「遠隔地健康保険被保険者証」(注:社保組合、国保:市(区)町村によって呼び名は異なる)を発行してもらう手続きをとりましょう。
●手続き先:社保→会社に報告、国保→各市(区)町村役所
●必要書類:在学証明書(他に必要な書類は各組合、市(区)町村によって異なりますので必ず問い合わせましょう)

国民年金

子どもが20歳になる国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられます。学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。親の節税対策として親が子の国民年金保険料を支払うこともできますが、支払いが難しい場合は「学生納付特例制度」を利用しましょう。


1.申請先
●住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口
●近くの年金事務所
●在学中の学校等(在学中の学校等が学生納付特例の代行事務を行う許認可を受けている場合に限ります。)

申請書は郵送にての提出も可能です。必要な添付書類とともに、住民登録をしている市(区)役所・町村役場へ郵送します。

2.申請書類
●年金手帳 または 基礎年金番号通知書
●学生等であることまたは学生等であったことを証明する書類
( 在学期間がわかる在学証明書(原本)または学生証<裏面に有効期限、学年、入学年月日の記載がある場合は裏面も含む>の写し)

「学生納付特例制度」について詳しくはこちらから

国民年金保険料の追納制度について

「学生納付特例制度」を利用すると老齢基礎年金の年金額が保険料を全額納付した場合と比べて年金額が低額となります。この「学生納付特例制度」は国民年金保険料を免除される制度ではなく支払いを猶予される制度だからです。学生納付特例の期間は年金の受給資格期間として計算されますが、年金額には反映されません。学生納付特例の承認を受けた期間の保険料については、後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができる「追納制度」があります。卒業し、収入が安定してきたら追納制度の利用を検討するのもいいかもしれません。
注:追納ができるのは追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。

国民年金保険料の追納制度についてはこちらから

・・・とここまでは教科書通りの提案ですね。(なかみちはFP技能士2級の資格があります)


年金制度は本当に奥深いです。ご存知の通り、「年金の世代間格差」が今問題になっています。日本の社会保障は大きな転換期を迎えていると思います。人口が減少し、かつてない高齢化の進展が予測されています。どの国も経験したことのない少子高齢化社会です。政府はさまざまな社会保障改革を検討していますが、いまだに解決策を提案できず、「賦課方式」の社会保障制度がもたらす世代間格差にも注目が集まっています。「年金制度の破綻=国の破綻を意味するのだから、破綻するはずがない」などどいう人もいますが、持続可能性の観点から述べるとすると現行の制度はもう限界にきており、その意味では破綻していると個人的には思っています。

若者からすると「支払った保険料(生涯負担)より将来受け取る年金額(生涯受益)が少ないから払わない」などどいう損得の問題にすり替わってしまいそうですが、問題は「賦課方式」により、人口構成がいびつなために起こっている、ある一定期間の現役世代が負担する社会保障費が莫大になるという点です。今回の記事は年金制度について語るものではないので、詳細の言及は避けますが、今後社会保障制度(「賦課方式」の年金制度含む)は改革され、世代間格差が是正される負担平準化を図る制度に変わっていくと思われます。いびつな人口構成による高齢化社会において、年金制度の原資が足りない現行制度の上に立った教科書的かつ政府寄りの提案をすれば上記のような「学生納付特例制度」や「追納制度」の利用を勧めるような単純な提案になるのですが、今後の情勢を鑑みると正直に言ってあまり意味がないようにも感じています。「学生納付特例制度」はさておき、「追納制度」は政府の苦肉の策といいますか、台所事情の苦しさ、年金原資を集めることの必死さの表れのように感じ、私たち現役世代のために提案しているようには感じられません。

そもそも我が国の年金制度は、老後に年金のみで生活できるような設計になっていません。老後の生活は「あなたたちの長年の蓄えに年金をプラスしてね★」という設計です。なのに「老後2000万円問題」なんて議論が起こる。そもそも、老後は年金だけでは生活できない設計になっているのに、年金だけでは足りないのは当たり前です。老後2000万円問題、「え?今更?」ですよね。「年金原資がないから、年金これから減らすよ~。だから自分たちでもっと貯めて、準備してね~。」という政府の年金減らす宣言ですよね、あれは。国民に「高齢化社会だから仕方ないね」と思わせる洗脳とも受け取れかねない。それともっと言うなら、老齢年金って夫婦二人世帯が標準で計算されています。結婚できない、結婚しない人、一人世帯が増えている昨今、一人世帯ならもっと少額で、もっと足りません。

「追納制度」をお勧めする政府ですが、保険料を追納し多少の老齢基礎年金が増えたところで、何が変わるのでしょうか?年金制度は「長生き保険」でもあります。100年まで長生きする人が将来増えそうだということは予測できますが、自分の将来なんて、本当に長生きするかどうかなんて予測できません。予測できない未来のために現在の生活を無視してまで現段階で支払えないものを支払う(追納)必要はないと思います。年金制度は貧民になることを予防するシステム、老後の生活にどう頑張っても困ってしまい貧民になったら権利として認められている救済システムの「生活保護」を利用すればよいだけのことです。

我が国の年金制度は「長生き保険」の他に「障害保険」、「遺族保険(=生命保険)」の意味もあります。支払う保険料より将来、受給できる年金額(老齢給付)少ないからと年金制度に加入しない人がいますが、これはもったいない。年金制度には老齢給付だけでなく、自分が障害者になったときの「障害給付(年金)」、自分が亡くなった時に遺族に支払われる「遺族給付(年金)」があり、民間団体の生命保険よりお得な制度です。あえて加入はせず、全く保険料を支払わない人もいますが(保険料未納率1割)、きちんと手続きをとれば、免除や猶予になり、無年金になることは防げますので、国民年金制度は加入はして必ず手続きをとりましょう。

アルバイトと税金

大学生になるとたいていの人はアルバイトを始めことでしょう。その時注意しなければいけないことは、どれくらい稼いだらよいかということです。大学生は親の扶養になっていることが多いので、扶養の範囲内で働くよう調整する必要があります。

●所得税の扶養の壁:年収103万円
●住民税の扶養の壁:年収93~100万円(成年の場合)
注:市区町村によって異なります。
意外と知られていませんが、住民税は未成年と成年では課税基準が異なります。未成年の未婚者だと合計所得金額135万円(給与収入204万4千円未満)までが非課税となります。

JASSOの給付型奨学金を受給予定、受給中の方は住民税で家計の適格認定が行われるため住民税の扶養の壁に注意!です。

大学入学時に準備したいもの

1.銀行口座
アルバイト、奨学金振込用に必須です。口座を開設しておきましょう。インターネット銀行は奨学金の振り込みには使えませんので、注意しましょう。お住いのお近くにある銀行の口座、アルバイト先で指定されている口座、全国どこでも使え、ATM数の多いゆうちょ銀行はお勧めです。


2.印鑑
これを機に認印、銀行印を用意しましょう。認印は学校の卒業記念でプレゼントされることが多いと思います。人によっては用意の必要がないかもしれません。
大学生になるとアルバイト・奨学金振込用に銀行口座が必要となりますから、銀行印は作っておいた方が良いでしょう。できれば実印とセットで作っても良いかもしれません。
●素材:男性:チタン、黒水牛 /女性:チタン、本柘(つげ)、水牛がおススメ
●書体(デザイン):実印:篆書体(てんしょたい) 銀行印:吉相体(印相体)がおススメ
●サイズ:実印–男性:15.0mm丸 
/女性:13.5mm丸 銀行印–男性:13.5mm丸 女性:12.0mm丸

3.クレジットカード
下記で説明しています。

クレジットカード

大学生にクレジットカードを持たせることは早いと思われる方もいるかもしれません。ですが、クレジットカードを利用することでお得なこともありますし、インターネット通販がこれだけ普及した現在は逆にクレジットカードがないと不便かもしれません。理系学生の場合、海外への研修や学会発表に行く機会もあるかもしれませんので、クレジットカードの作成をお勧めします。利用の仕方、携帯時の注意は親子でよく話し合ってください。

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この記事は2021年3月7日付け情報です。

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