正式には『やさしく、たくさん』。
『多読』なら知っている人も多いだろうが、
『やさたく』はSSSが提唱している多読理論に近い意味合いがある。
これは今までの訳読式英語勉強法を止め、直解式に英語に触れ、英語脳を作るという
大人向けの新しい英語勉強法と言われている。
英語育児をしている人なら常識だろうが、
語学習得にはとにかくインプット量、時間に比例する。
学校英語だけでは、あきらかに量が少ないため、
英語のできる人間が生まれないのは周知の事実だ。
それと訳読式だと、日本語を介する為、英語を英語で理解しないため、
英語に触れる時間が少ない。
とにかく英語力を付けるためには、時間をかける必要がある。
また辞書を片手に訳読していけば、難しいものも読めないわけではないので
年齢の興味に合ったもの(つまりレベルの高い英語が含まれてしまう)を
教材として選んでしまい、基礎がおざなりになりがち。
ということで、自分の理解できる範囲の英語(やさしい)を使う直解式が
ベターなのだそうだ。
つまり、やさしい(基礎)ものを、たくさん(量)なのだ。
このやり方で推奨されている方法のいくつかには、
英語育児ではおなじみの『かけ流し』、
意味のわからない単語でも、何度もその単語に触れ、
自分で推測し、概念をつかむという『多読』などがあった。
『やさたく』は大人向けにやり直し英語の方法として発信されているものだが、
子どもが言葉を習得するときの過程をベースにしているので、
英語育児にも使える部分がたくさんあった。
・・というか知らない間に、英語育児をしている人はそれを実行している
と言えるかもしれない。
やさしいものの代表格と言えば、絵本だ。
絵本は本当に素晴らしい教材で、奥が深い。
高価な幼児向け英語教材なんかなくても、
絵本さえあれば英語習得の基礎は可能だとさえあたしは思っている。
(話は反れるが、情操教育にも適している)
これは絵本をたくさん読むようになって分かったことだが、
絵というのは言葉習得のためには極めて欠かせない、重要な素材だ。
言葉と概念を結びつける重要な役割を果たしている。
絵本を読みながら、その言葉を指差したり、
文章の内容に即した絵から、意味を推測することができ、言葉の理解を助けてくれる。
母語の完成した大人の、間違った外国語の勉強法の一つは、
りんごの絵を見て、「りんご」→「an apple」と母語を介す方法だ。
とにかく絵や写真、体験となどを通して、
概念と新しく覚えた外国語の言葉を直結するように習得するのが効果的。
けれどこのやり方は、実際に見えるもの、名詞ならともかく、
抽象的概念を表す言葉となると時間がかかる。
(例えば息子は、thinkという言葉を理解するのに、時間がかかったと記憶している)
効率がいいとは言えないが、効果は抜群だ。
これをたくさん時間をかけられるうち、
つまり勉強や友達との時間、趣味に取られない時期、
やさいしいものに抵抗のない時期の小さいうちが導入には
しっくりくるかもしれないが、
大人がするときに比べると更に時間はかかる。
まず小さい子どもには概念がないので、
概念の形成をするところから始めるためである。
親にはこれをじっくり待つだけの寛容な心と忍耐が必要となる。
それプラス、子どもの人間形成や生活の優先順位を間違わず、
親自身もその言語に親しみ、楽しめるのなら、
『やさたく』を取り入れた早期英語教育も、悪くはないかと思う。
本音を言えば、これをたくさんの時間をかけて絵や絵本などを使いながら
学校でやってくれれば、小さいうちから時間をかけてする必要がないのだけれど、
学校というのは学ぶ時間が限られているので、
学校英語で、「理解するまで待つ」なんていう方法は
非現実的で理想論なのかもしれない。
本人に「英語をもっと学びたい!」という意思が出てきたときに、
学校以外で学ぶ方法として『やさたく』を取り入れていくのがベストかもしれない。
この方法を提唱しているのは『週刊ST』の編集長をしている伊藤サムさんである。
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